相続問題を解決する法律事務所

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Service遺産分割

参考:相続の基礎知識

相続の心構え

  • 身内がお亡くなりになった場合,悲しみの中滞りなく葬儀をしなければなりません。また,納税が発生するのかどうか,諸手続をどうすればいいのか,遺産分割をどうすればいいのか,遺言が見つかった場合の処理などどのように手続きを勧めていけばいいのか分からないというのが現実です。このとき,相続についてだれを知っているかが大事です。

    KAI法律事務所は,相続に関わる税理士,不動産鑑定士,土地家屋調査士,司法書士,不動産業者など士業の集まりである相続アドバイザー協議会の顧問弁護士としてトータルでご相談に応じます。まずご相談下さい。

相続手続きの流れ

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相続人の確定

  1. 相続人の範囲について

    相続の場合トラブルを回避するため、民法で相続できる人つまり相続人を決めています。法律で定めているので法定相続人といいます。

    民法で定める相続人はまず配偶者です(妻または夫)。そして血族に限定しています。前者を配偶相続人。後者を血族相続人といいます。さらに血族相続人の範囲も無限ではなく、直系卑属(子、孫など)、直系尊属(父母、祖父母)、傍系血族(兄弟姉妹、甥、姪など)に限っています。これらを総称して法定相続人といっています。

    法定相続人の中で一番の権利者は配偶者です。配偶者はどんな状況でも相続人になれます。

    一方血族相続人には以下のような順位があります。

    第一順位:直系卑属(子、孫、曾孫)

    被相続人に子がいる場合は、配偶者と子のみが相続できます。子がすでに死亡している場合には孫、孫が死亡している場合は曾孫が相続します(代襲相続)。

    第二順位:直系尊属(父母、祖父母)

    被相続人に第一順位の子が存在しない場合に相続人になります。子が一人でもいたら相続人にはなれません。被相続人の父母が死亡している場合は祖父母が相続します。

    第三順位:傍系血族

    被相続人に第二順位の父母・祖父母が存在しない場合は、傍系の兄弟姉妹が相続します。兄弟姉妹がすでに死亡している場合はその子(姪・甥)が相続します(代襲相続)。

  2. 養子の相続権について

    養子は縁組によって養親の嫡出子(婚姻中に生まれた子)たる身分を取得します(民809)。養子の子が代襲相続人になりうるのは養子縁組後に生まれた場合です。

  3. 婚姻外で生まれた子供の相続権

    婚姻外で生まれた子は認知を受ければ父の相続に関し相続権を主張することができます。ただし、婚姻外で生まれた子(非嫡出子)の相続分は嫡出子の相続分の2分の1です(民900④)。

  4. 法定相続分

    遺言がない場合、民法は、誰が相続人となるのかを規定していますが、さらに各相続人が受け継げる相続分につていも規定しています。これを『法定相続分(ほうていそうぞくぶん)』といいます。

    ●法定相続分
    子と配偶者が相続人・・・・・子が2分の1、配偶者が2分の1。
      ※配偶者が死亡している場合は子が全部相続。
    父母と配偶者が相続人・・・・配偶者が3分の2、父母が3分の1。
      ※配偶者が死亡している場合は父母が全部相続。
    兄弟姉妹と配偶者が相続人・・配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1。
      ※配偶者が死亡している場合は兄弟姉妹が全部相続

特別受益と寄与分

  1. 特別受益とは

    • (1)民法は、共同相続人中に、被相続人より遺贈を受けたり(婚姻や養子縁組のためあるいは生計の資本として)生前贈与を受けているといった特別の利益を受けている者がいる場合には、その者の相続分を減らすことによって、被相続人から何もしてもらわなかった者との公平を図っています(民903Ⅰ)。この遺贈を受けた者または生前贈与を受けた者を特別受益者といい、この特別受益者がその受けた利益の限度で相続分を差し引き計算されることを持戻といいます。
    • (2)特別受益の範囲 "特別受益の範囲は、共同相続人の一部の者が受けたすべての遺贈と、生前贈与の内、婚姻・養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与された場合に限られます。
    • (3)婚姻または養子縁組のための生前贈与 婚姻または養子縁組に際し贈与された、持参金、結納金などは特別受益に該当します。ただ、その価格が被相続人の資産、収入、生活状況に照らして少額であり、扶養と認められる場合は特別受益には該当しません。挙式や披露宴の費用等は、通常は特別受益には該当しません。
    • (4)生計の資本
      親元から独立する際に不動産を贈与されたり、事業資金を出してもらった等、相当額の贈与は「生計の資本としての贈与」として特別受益に該当します。ただし、被相続人の資産、収入、生活状況から扶養の範囲内と認められれば特別受益には当たりません。教育費が特別受益にあたるか否かも被相続人の生前の資産、収入、生活状況により異なり、共同相続人のうちの一部だけ高等教育を受けているような場合は特別受益に該当します。
    • (5)生命保険金は特別受益に該当するのでしょうか
      これについては以下のような最高裁の判例があります。保険金の額,この額の遺産の総額に対する比率,保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係,各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合して,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,特別受益に準じて持ち戻しの対象となります(最判平成16年10月29日)。
    • (6)死亡退職金等の遺族給付は特別受益となるのでしょうか。
      死亡退職金については,賃金の後払いの性格を有することおよび被相続人の意思によって受給者が決定されないことから特別受益性を肯定する学説が有力であるが,裁判例は分かれています。
    • (7)生前贈与された財産の評価方法はどのようなものですか。
      生前贈与された財産は、相続開始時の時価を以て評価します。生前贈与された財産が、受贈者の故意過失により滅失毀損した場合には、それが相続開始時に贈与当時のままの形で存在するものとして評価します(民904)。生前贈与された財産が、受贈者の故意過失によらないで滅失毀損したときは、滅失毀損した部分は初めから贈与されなかったものとみなします。金銭は、物価指数により相続開始時の価値に換算します。
    • (8)特別受益者の相続財産の計算方法をおしえてください。
      • (ア)みなし相続財産の算定 ①被相続人の死亡時(相続開始時)に有した財産を、その相続開始時の時価で評価します。被相続人が遺言により遺贈する財産も含めて評価します。②被相続人から生前に贈与された財産を相続開始時の時価で評価し、これを①の被相続人の相続開始時の財産に合算します。例えば、母が死亡し、子甲乙丙の3名のみが相続人である場合遺言で、遺産1億円のうち、甲に4000万円の遺贈がなされており、乙には母が生前、事業を始める際の資本として母死亡時の時価で5000万円を贈与していた場合、この想定相続財産は、母死亡時の財産1億円と乙が母の生前受けた贈与の価額5000万円の合計1億5000万円です。
      • (イ)本来の相続分の算定 ア)の方法で算定した想定相続財産の価額に各相続人の相続分(遺言による相続分の指定がない場合-民900、901)を乗じます。ア)の例では、みなし相続財産の1億5000万円に各自の法定相続分1/3を乗じ、5000万円が本来の相続分となります。
      • (ウ)最終の相続分の算定 イ)で算定した、各自の本来の相続分から各自が現実に遺贈または、生前贈与を受けた分の価額を差し引きます。こうして算定されたものが具体的相続分です。例に従うと甲は、5000万円-4000万円=1000万円,乙は、5000万円-5000万円=0円,丙は、5000万円-0円=5000万円となり、甲は遺贈のほか1000万円の相続を受けることができ、乙は生前贈与だけ、丙は5000万円相続を受けられることとなる。但し、遺留分の規定に反することはできません。

    • (9)特別受益の持ち戻し免除
      被相続人が、特別受益の持戻につき、免除をなした場合には、その意思に従います(民903Ⅲ)。ただし、この場合にも、遺留分の規定に反することはできません。遺贈の場合には、正式な遺言書に記載することが必要ですが、生前贈与の場合には、遺言書によって持戻義務の免除を行わなくても良く、口頭でしてもかまいません。
  2. 寄与分

    • (1)寄与分とは
      被相続人の財産の維持・形成に特別の寄与・貢献をなした共同相続人がある場合に、その者の法定相続分に寄与に相当する額を加えた財産の取得を認め、共同相続人間の実質的衡平を図る制度です(民904の2)。寄与をした共同相続人が受ける利益を寄与分といいます。
    • (2)寄与分を主張できるもの寄与分をうけることができるのは共同相続人に限られています(民904の2 I)。共同相続人であれば、限定承認をしていても、特別受益を受けて具体的相続分がない場合でも寄与分を主張することができます。相続放棄者ははじめから相続人とならなかったものとみなされ(民989)、また相続人欠格者、被廃除者も相続人ではないので寄与分を主張することはできません。
    • (3)寄与分が認められるための要件
      寄与分が認めらるには①寄与行為の存在、②「特別寄与」があったこと、③被相続人の財産の維持又は増加があること、④寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係があることが必要となります。②寄与行為は「特別の寄与」と評価されるものでなければなりません。夫婦間の協力義務や親族間の扶養義務等、被相続人との身分関係に基づいて法律上の義務の履行としてなされる行為は「特別の寄与」には該当しません。③多大な貢献に関わらず、維持増加があったと認められない場合は、寄与分を取得することはできません。

財産調査と相続人調査

  1. 財産等調査

    相続が発生した場合,相続財産や遺言の調査が必要となります。
    • (1)不動産の調査
      まず、被相続人の所有した不動産について、登記簿上の地番や家屋番号が分かっているときは直ちに登記簿謄本を取り寄せます。登記簿謄本は、誰でも申請することができ、所定の登記印紙を貼付して申請すれば郵送でも取寄せができます。ところで相続財産の中に不動産があるらしいことが分かっていても、実際にそれが被相続人の名義であるのか分からないというようなケースがあります。このような場合には、当該不動産の存在すると見られる市区町村の資産税課(東京の場合には都税事務所)に申請をして不動産の名寄帳を取り寄せることによって判明することがあります。この名寄帳というのは、当該地方自治体の範囲内にある不動産についての所有者ごとの一覧表であり、未登記建物であっても固定資産税の評価を受けているものまで記載されています。
    • (2)預貯金の調査
      被相続人の預貯金については、金融機関から被相続人の死亡日の残高証明書を取り寄せて調査することになります。債券、証券についても同様の証明書により調査することになります。
    • (3)遺言の調査
      被相続人の死後、公正証書遺言の存否や内容が不明な場合は、まず最寄りの公証役場で遺言公正証書の存否を確認します。公証役場では遺言検索サービスを使い全国どこでも遺言公正証書の有無が検索できます。この検索システムにより、遺言公正証書が作成されている場合には、作成年月日や作成した公証人が判明します。遺言公正証書の原本は、作成した公証役場で保管されているので、次に、当該公証役場にて、謄本を入手することになります。
  2. 相続人調査

    相続人調査相続関係を調査するためには、被相続人の出生時から死亡に至るまでの被相続人の身分関係を網羅する戸籍関係書類を入手する必要があります。まずは被相続人の除籍謄本であり、それに基づく相続人の戸籍謄本です。もし除籍謄本のみで前記の身分関係の網羅ができない場合には、その前に属していた戸籍の除籍謄本、あるいは改製原戸籍謄本、さらにその前の除籍謄本が必要となることがあります。除籍謄本は、被相続人の本籍地の市区町村で交付を受けることができ(郵送による申請も可)ます。被相続人が本籍を転々としてきた場合などには本籍の移転したすべての除籍謄本が必要となります。
    相続人の戸籍謄本もそれらの者の本籍地の市区町村で交付を受けることができます(郵送による申請も可)。
    被相続人の最後の住所の調査は、住所地の市区町村から除住民票の写しの交付を受けることにより行います。相続人の住所は住民票の写しの交付を受けることにより行います。もし相続人の住所が不明の場合には、本籍地の市区町村から戸籍の附票の交付を受けることによって確認することができます。

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